もう出産から一か月以上が過ぎましたが、出産当日のことをまだ記していませんでした。
もう二度とないであろう経験を忘れないうちに記しておこうと思います。(あのボスキャラも再登場します・・・)
前日は午後から入院し、採血や尿検査、剃毛、診察、NSTなどバタバタした一日でした。
診察では先生が二人がかりでじっくりとエコーを診てくれましたが、二人がお腹の中で重なっていて相変わらず複雑な入り方をしている模様(臨月にして激しく胎位を変える二人。どんだけ余裕があるんだ、私のお腹!)。結局正確な体重は出ませんでした。
手術前夜は病棟の妙な暑さのせいであまり眠れず、ロビーでぼーっとしたり、携帯でブログを読んだりして時を過ごし、少しうとうとして出産当日を迎えました。
朝は6時に起床。
朝食は抜きなのでのんびりした朝かな~と思いきや、
洗面を済ませたら、早速手術着に着替え肺血栓防止用のコンプレッションソックスを履き、3回目にして最後のNSTを済ませて輸液点滴開始。
そうこうするうちに旦那が現れ、すぐに手術開始の時間がやってきました。
9時前に助産師さん二人に連れられ手術室へ移動。
旦那に「出してもらってくるね~。行ってきまーす!」とバイバイして、中央手術室に入りました。
自分の手術室に向かって移動する際中、二年前の手術では全く感じなかった緊張感を感じました。なんでだろ?腰椎麻酔がちょっと怖かったのかも。
迷路のような通路を抜けて手術室にたどり着くと、手術台に移動して、血圧計や心電図などの計器、酸素マスクや尿管などいろいろなものを取り付けられ、麻酔開始です。
ところでこの手術、帝王切開という簡単な手術ですが手術に携わってくださった人の数はたーくさんでした。
産婦人科の先生が4人(執刀医2人とその他2人。その他2人のうちの一人はオヤジでした・・・)
助産師さん2人
新生児科の先生2人
手術室の看護師さん3,4人(?)
と大勢の方に見守られて手術は始まりました。
手術室の看護師さんに体を支えられて大きなお腹ながらできる限り背中を丸め(ちなみに私の背中の丸め方は◎だったようで、看護師さんに何度もほめられました)、助産師さんに手を握ってもらいながら腰椎麻酔をぶすっと。ちょっとだけ痛みを感じましたが助産師さんの手を握り返して乗り切りました。
そして体を上に向けて各種セッティングがなされいよいよ二人が出てきます。
のはずでした・・・
が!
○○さん、これ痛い?
と聞く先生に、
痛い!
と答える私。
こんなやり取りが何度かなされ、頭を低くするなどしてみていたようですが結局のところ麻酔が効いていませんでした。だって、足に若干の痺れは感じるものの楽々動かせるんですもの。
このままお腹を切るのはやめてね。先生。
という私の心の声が通じたらしく(?)、もう一回背中を丸めて腰椎麻酔を打ちなおすことになりました。
この時体の向きを横に帰る際に動かした私の足に何かが触り
ガシャーン!!
どうも、動かないはずの足のそばに手術用の道具が置いてあったようで、それらを見事に蹴飛ばして落としてしまったらしいです。
ごめんなさーい!
と叫ぶ私に、
大丈夫よ。気にしないでね。
と優しい看護師さんのお言葉。ですが、恥ずかしかった・・・。
そしてもう一度打たれた腰椎麻酔のおかげですぐに足の感覚はなくなり、
○○さんのMD双胎帝王切開術を開始します。
との先生の言葉とともに、無事に手術は開始されました。
残念ながら私からは手術部位が見えないので、何が起こっているかわからないまま手術が進められました(自分で手術部位を見たくって、どこかに反射して見えないかなぁ?ときょろきょろしてみたけど残念ながら見えませんでした)。
大きなお腹の重さで大静脈が押されて血圧が下がるので、輸液と血圧上昇の薬で乗り切ります。ただ限界があるので早く取り出すことが一番の方法です。
と事前に説明を受けていた通り、輸液を最大に流し薬も投与されていきましたが予定通り血圧は下がり続け、30-60くらいになったとき急な吐き気と呼吸困難を感じて何かを吐き戻そうとしますが胃の中は空っぽ何も出ません。
この時は気持ち悪いのと呼吸がつらいのとで、自分の体がどうにかなっちゃうんじゃないかと思いました。
そんな中だったとおもいます。
9時36分
という声が聞こえました。
あ、産まれたんだな。
と思うのと同時に
オギャーオギャー
という元気な声が聞こえました。
泣いてる!泣いてる!
と一人目誕生の感動に浸る暇もなく、
9時38分の声。そして、オギャーオギャーその2。
しばらく手術室は二人分のオギャーオギャーの大合唱で埋め尽くされました。
執刀中の先生たちも、
大合唱だね~
と思わず口にしてしまうくらい元気な泣き声でした。
そしてその奥からは、産まれてきた2人のお世話をしてくれている助産師さんから
そっくり~
の声も聞こえてきました。
オギャーオギャーの大合唱が響く手術室で、
二人とも元気に産まれたんだ~
と一安心。と同時に、家に帰ったら毎日大合唱かぁ・・・という不安も頭をよぎりました。今考えるととっても落ち着いてたんですね私。
その後、9時40分に胎盤も取り出され無事に出産は終了。あとはお腹を縫うだけのはずでしたが、取りやすい位置にあるからと急遽子宮筋腫も取っていただけることに。
途中再び気持ち悪さ&息苦しさに襲われますが今度は薬で回復、子宮筋腫の摘出も無事終了しました。
時間の前後関係を覚えていないのですが子宮筋腫の摘出中かその後だったか、私の顔の横に産まれた二人を連れてきてくれて初めての対面を果たすことができました。
私の手で二人に触ったり。
助産師さんが男の子の印を見せてくれたり。
私のほっぺたにカーくんを擦り付けてくれたり。
ほんのひと時の対面時間でしたが、とても長い時間に感じられました。
こんにちは。これからよろしくね。
と挨拶をした初めて見る二人はとっても小っちゃかったけど、その元気な顔を目にした瞬間、私のほっぺたを自然に涙が伝いました。
涙で言葉にならない言葉を二人にかけた気がしますが、なんて声をかけたのか覚えていません。
やっぱり声だけじゃ心配で、直接顔を見て、触って、初めて心から安心できたと同時に興奮を感じたんでしょうね。
きっと一生忘れられない瞬間。
ここにすべてをうまく描くことはできないけど、二人がちょこんとすまし顔で存在していた手術室の風景が私の心の中に焼き付けられています。
私との対面を済ませた二人は一足先に手術室を後にし、
体重の軽かったカーくんは新生児センターへ、
体重が十分に重かったマーくんは産婦人科の新生児室へ、
それぞれ運ばれました。
二人が出てきた後で男の子であることとそれぞれの体重を教えられ、先に産まれたカーくんがセンターに運ばれることを聞かされたはずですがほとんど覚えてません。多分直接二人に対面した感動で余計な記憶は飛んじゃったんだろうな~。
人が減ってさびしくなった手術室でお腹の縫合が完了し手術は終了。
できるだけ小っちゃくしてくださいよ!
とお願いしたのに予想通りぼてっと残ったお腹。でも、何か月かぶりに手で触れたくっきりと浮き出た自分のろっ骨に、
ああ、赤ちゃん達はもうここにはいないんだなぁ。
とちょっと寂しくなってみたりして。
やっぱり、自分の体の中に別の命が宿っているというのはとても不思議で貴重な経験でした。特に胎動を感じるようになってからは、お腹の中の二人に常に触ったり話かけたりしてきたので、お腹に二人がいないと感じさせられて寂しかったんだと思います。子離れ第一弾な感じでしょうか?
途中気持ちが悪くなった私でしたが、手術終了時にはとても元気で先生や看護師さんと談笑しながら手術室を出ました。
手術後は動けない私に変わって、旦那が実家への連絡をしてくれたり、赤ちゃんの写真やムービーをとってきてくれたり、新生児センターへの入院手続きを済ませてくれたりしてくれました。
痛み止めのせいでぼーっとしながらでしたが、なんとなく旦那が興奮していた様子を覚えています。
だって、私の意識はかなり怪しいのに、難しい手続きの話をあれこれとしてくれて
全然私の様子なんて目に入ってないだろっ!
って状態でしたから(笑)。
二人の誕生は旦那にとっても、とても刺激的で嬉しい出来事だったんだと思います。
あ、ぼーっとしてたけど覚えていることがあります。
旦那が言ってくれた、ありがとうの言葉です。言ってくれてうれしかったよ~。
これからは家族四人。仲良く元気に明るく、みんなで成長して行こうね~。
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という出産だったのですが、最後にオヤジ医者のことを書いておかなくっちゃいけません。
いなくていいのになぜか手術室にいたオヤジ。
手術用の手袋などしていなかったので、もともと口だけを出すために参加していたんだと思いますが、最後まで私の気に障る言葉を発してくださいました。
ここに手術室での語録を記して、二度と会うことのないであろうオヤジにさよならしたいと思います。もう二度と会わないよ~~!!
- 妊娠線のたくさんできた私のお腹を見て→妊娠線の割に赤ちゃんが小っちゃいなぁ。体重が急激に増えたんでしょ? (君のおかげで体重制限してたから体重は3キロ増だったんだよ!!)
- 出てきた一人目の赤ちゃんを見て→小っちゃい小っちゃい。入院だ入院。センターに入院だ。 (この時点ではまだ赤ちゃんの姿を見ることができない私にとって、小っちゃい小っちゃいという言葉は本当に不安を与えました。患者に不安を与えるなんて医者失格!)
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